Tube型とSlim型熱線風速計の紹介と共通仕様等

Fig.1 Tube型

熱線風速計は、流体中に置かれた金属細線(センサ)をJoule加熱し、金属線の強制冷却特性に基づき流体流速を電気的に求める装置です。
Tube型とSlim型は、いずれもセンサの加熱温度(抵抗)を一定に保つ定温度(CT: Constant- Temperature)方式を採用することで、流速変動に対する応答特性は極めて優れています。一般にこの方式の風速計はCTA(Constant-Temperature Anemometer)と呼ばれています。
Fig.1に示したTube型は、熱線風速計を使った経験のない方々にも安心して使えるよう無調整を実現しました。また、熱線サポートである外径6mmのステンレス円管内に制御回路を全て収納したので、使い勝手は抜群です。

Fig.2 Slim型

一方Fig.2のSlim型は、計測精度を追及されるユーザにお勧めの風速計で、センサの加熱比設定や応答特性調整のための矩形波など必要最小限度の電気回路一式が熱線サポート下流端の小さな金属ケースに内蔵されているので、調整が容易です。またブリッジ出力に加えて、変動成分を10倍した出力も兼ね備えているので、A/D変換の際にS/N比を一桁向上させることができます。

■特徴

  • Tube型もSlim型もPCのUSB電源の単電源で動作
  • USB電源を乾電池4本ないしはニッケル水素電池に変えれば超低雑音特性を達成
  • センサから制御回路まで金属ケースに内蔵、電源ハムや外来誘導ノイズは皆無
  • 熱線プローブの支持針間隔を3mm確保、独自設計の流れを乱さない流線形状
  • 熱線プローブの支柱(prong)は直径0.8mmステンレスバネ材を採用しているので堅牢不銹
  • 独自の特殊ソケット採用で熱線プローブの抜き差しは極めて簡単
  • 熱線ケーブルが短く、そのリアンクタンスを無視できるので、熱線風速計固有の電気雑音を容易に除去可能でS/N比はさらに向上(末尾Fig.8と9参照)

■設計思想

Fig.3 Tube型CTAの等価回路Fig.4 Slim型CTAの等価回路

Fig.3と4は、Tube型とSlim型CTAの等価回路、SQWは矩形波で、前者は外部から注入でき、また後者には1kHz矩形波が組み込まれています。ブリッジ出力は、流速に対して良く知られたKingの式に従うので、出力電圧は流速に比例しません。

しかし昨今のデータ収録装置の利便性を有効活用することを前提に、データ収録後にユーザが線形化を行って頂きます。それ故、CTA回路操作の簡便さと容易さを極限まで追求し、そして計測で最も重要な未踏の低雑音化に挑み、達成しました(こちらのページのFig.9を参照)。以下、その共通の仕様と性能です。


■Tube—Slim共通仕様

適合プローブ直径5µm線で動作抵抗値は5.7Ω(Tube)
 直径5µm線で設定動作抵抗値は2-20Ω(Slim)
測定流体空気や窒素など不活性ガス
流速測定範囲0.5m/s-65m/s
応答特性30kHz at 20m/s
電気雑音30kHz at 20m/s
出力電圧~4.7V
供給電源5V-6.5V, 0.

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。